東バライ遺跡とは
About East Baray Remains
バライとはアンコール王朝の人工貯水池の名前です。
アンコール・トムを挟むように東に東バライ、西に西バライがあり、それぞれ同じ長方形の形をしています。東西に約8km、南北2kmの大きさです。
シェムリアップ川を水源とし、周辺田畑に水を供給したり、乾期に備えたりする役割がありました。西暦900年前後にヤショヴァルマン1世により造られたので「ヤショダラタターカ」とも呼ばれます。
かつては船を浮かべるほどの大池でしたが、現在は水が干上がっています。中央に東メボン寺院、周囲にはタ・プローム遺跡やプレループなど、見所が多いので観光スポットの拠点にピッタリです。
1992年に他のアンコール遺跡とともに、世界遺産に登録されました。
東バライ遺跡の歴史と見所
西暦900年前後にヤショヴァルマン1世により造られました。現在の位置関係で見ると、アンコール・トムを挟むように東と西にバライが配置されており関連があるように思えますが、これらは同時期に造られたものではありません。
巨大な城塞都市アンコール・トムを整備したのはジャヤーヴァルマン7世ですが、この地に最初に王宮寺院を建造したのはスーリヤヴァルマン1世です。東バライ建造後、およそ100年を経た1,010年~1,050年の間のことでした。
同時に造られたのが西バライです。
最初にあった東バライを基点として、アンコール・トムと西バライが設計されたのでしょう。
ヤショヴァルマン1世と言えば、ロリュオス(ハリハラーラヤ)からアンコール(ヤショダラプラ)へ遷都した王です。
父王のインドラヴァルマン1世はハリハラーラヤにインドラタターカと呼ばれる貯水池を建設しており、治水と感慨技術に優れた王として治世しました。
その技術を学び、活かす方法を継承し、水の大切さを知っていたのでしょう。
ヤショヴァルマン1世は遷都したアンコールにも大きな貯水池を自らの手で建造しました。この貯水池は周辺の田畑へ水の安定供給をはかったものと推測されています。
このバライの規模と土地の特性を考えると、貯水池として用いたと考えるのが自然ですが、バライの四つの角から見つかった石碑の碑文には灌漑設備として使用したとする記述は一切ありません。
建造目的はなんだったのでしょうか? いくつかの説がありますが、ヒンドゥー教の宇宙観における須弥山(世界の中心にそびえる山)を囲む海を模した聖地だったのではないか、という説があります。
聖なる山プノン・バケンを囲む海として、計画されたのでしょう。
現在は水がありませんが、中央に残る東メボン寺院の入口には船着場があることから、当時は船を使って寺院へ出入りしていたことが分かります。
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東バライ遺跡の歴史
西暦 | 王名 | 遺跡名 |
---|---|---|
889年 〜 910年 |
ヤショヴァルマン1世 Yasovarman I |
建築物:ロレイ、プノン・バケン、東バライ、プラサット・バイ,プノン・クロムなど |
東バライ遺跡の見学ワンポイントアドバイス
東バライの水は現在干上がっているため、中央の東メボン寺院がメインとなります。
東メボン寺院には船着場があることから、当時は船で出入りしていたようです。たっぷりの水をたたえた大池の中心にある美しい寺院の神秘的な光景を想像してください。
東バライの周囲には、ぜひ見ておきたい遺跡があります。
特にタ・プローム遺跡は有名ですね。他、火葬場を備えた寺院であるプレループも必見です。
バライを守るナーガ
大池の中心には寺院が見える
沐浴池であるスラ・スランは、ラージェンドラヴァルマン2世が最初の建造者ですが、後世にチャンパ軍に占領されたアンコールを取り戻した王ジャヤーヴァルマン7世によって整備しなおされました。
アンコールを取り戻す度、当時の王は水にまつわる施設を建造したり、手を加えたりしたのです。
この地帯での水の貴重さが、史実から理解できます。
東バライの建造目的に関しては当初の灌漑用水池という使用目的以外に、聖地の象徴とする見方もあります。
正確な長方形の貯水池が造られた目的、方法を探す旅も良いですね。
なお、2018年3月の日本考古学チームの調査で東バライの西面はタ・ネイ寺院の参道とつながっており、貯水池の土手上から十字形テラスのようなものが発見されています。
その上には木造の建築物があった痕跡があり、さらなる調査が楽しみなところです。
東バライ遺跡の場所(Google MAP)
アンコール・トムの東に位置します。シェムリアップ国際空港からは、車で20分ほど。
周辺の遺跡を巡るルートで考えると、アンコール・トムやアンコール・ワットなどの大規模遺跡とは別日に設定した方が良いでしょう。
東メボンを中心とした東バライ敷地内には市場やレストランがあります。拠点として利用しながら、お土産を探すのもおすすめ。