アンコール・トムAngkor Thom
クメール建築の最高傑作
江戸初期の日本人・森本右近太夫が
残した落書きもここに!?
アンコール・トムとは
アンコール・トムは「大きな都」という意味です。
中心寺院はバイヨン寺院。その周囲に複数の寺院や兵のための史跡が。
周囲を3km四方の塀と8mもの高さの城壁で囲み、王も庶民も住まう堅固な城塞都市としました。
バイヨン寺院は、ヒンドゥ教におけるメール山(宇宙の中心にそびえる須弥山)を象徴化しています。
長い間使われていた都市ですので、戦争の歴史があり、戦闘の名残や兵のための施設が多いのが特徴です。
アンコール・ワットの3倍の大きさを誇り、10万人もの人々が生活していたと言われる古の王都をご案内します。
宇宙の中心のシンボルとして作られた巨大寺院には、それ自体にみどころがたくさんあります。
建設したのは王都をアンコール・トムに定めたジャヤヴァルマン7世。
アンコール・トムの歴史と見所
1020年、スーリヤヴァルマン1世により建造がはじまったアンコール・トムは歴代の王が手を加え、12世紀後期にジャヤヴァルマン7世の手によって王都として整備され、最盛期を迎えました。
12世紀後期までの王都はアンコール・ワットでしたが、1177年にチャンパ軍の攻撃によりアンコール都城が占拠されます。
1181年にジャヤヴァルマン7世によりアンコール・ワットを解放。1190年にはチャンパ王国を降伏させました。
ジャヤヴァルマン7世は疲弊しきった国内を立て直すのと、地方へと通じる主要道路の整備、病院や民のための施設を充実させるために王都をアンコール・トムに定めました。
バイヨン寺院が建設されたのはこの時です。
アンコール・トムはその後15世紀前半まで首都として機能し続けます。
中心に据えらえれているバイヨン寺院は宇宙の中心である須弥山を、周囲の城壁はヒマラヤの霊峰を表しています。
アンコール・ワットの宇宙観と共通点を探すのも面白いでしょう。
3km四方の城壁なのに、門の数は5つと一つ多いです。これには「北」「南」「西」の3つの門に加え、「勝利の門」「死者の門」があるからです。
戦に勝利した兵士が通るのが「勝利の門」で門をくぐった先は「象のテラス」と呼ばれる場所です。ここで王のねぎらいを受けるのです。
一方、戦で命を落とした兵士は「死者の門」を通ります。通った先にはバイヨン寺院があり、極楽浄土への旅立ちの儀式を受けるのです。
アンコール・トムを王都とした治世は長く、このような戦闘の名残が各遺跡に残ります。平和の裏にある戦いまで全てを受け入れながら、人々は生き生きと毎日を暮らしたのでしょう。
それでは、全体図と主な見どころをご説明します。
アンコール・トム全体図
アンコール・トムの城壁内はバイヨン寺院を中心に十字に道路が敷かれています。
王宮はバイヨン寺院の北にありました。現在、王宮は消失しています。ライ王のテラスと象のテラスが一体化した塔門が王宮の入口となっていました。
象のテラスは勝利の門の真正面にあり、凱旋した兵士を王族が出迎える場所となっています。なお、勝利の門と死者の門は同じ東方向にあり、長い戦闘状態にあったチャンパ王国の方角と言われています。
テラスは王の謁見式にも使われ、王族と庶民とのコミュニケーションに欠かせない場所になっていました。
① バイヨン寺院
第一回廊、第二回廊を通って中央祠堂へと向かうピラミッド型建築物です。
バイヨン寺院で最も有名なのは「クメールの微笑」と呼ばれる観世音菩薩の四面仏(四面塔とも呼ばれる)です。林立する仏塔の四面に彫られた2mほどの仏面が観光客を見守ります。大迫力の光景は忘れられない思い出となるでしょう。
第一回廊には全長470mにも及ぶレリーフがあり、そこにはチャンパ軍との戦闘の様子や庶民の生活、宮廷の様子が描かれています。戦闘の末に手に入れた平和を大切にしている様子が伝わってきますね。
② 象のテラス
高さ約3m、全長約300mもある巨大テラス。王が戦場へ赴く兵士を見送り、凱旋した兵士を出迎える場所です。象が行進しているレリーフや聖獣アイラーヴァタ(白象)像が全面に彫られています。
③ ライ王のテラス
象のテラスと連なるテラス。高さ約6mの外壁に施されたデヴァダーやアシュラのレリーフが見ものです。
発掘調査前に修復されていたことが明らかになっており、2重構造の外壁とすることで修復前のレリーフが見られるようになっています。
④ 王宮跡
バイヨン寺院の北西にあったとされている王宮の跡地。木造で作られたために、原形をとどめることができませんでした。
「ピミアナカス」とともに、金箔で覆われた絢爛豪華な建物だったと言われています。歴代の王がここで暮らしました。
⑤ ピミアナカス
アンコール・トム建造初期に建設された王族のための儀礼場。スーリヤヴァルマン1世が建立しました。
現在は消失している王宮の敷地内に残るピラミッド型の遺跡で、北側に「男池」「女池」があります。
⑥ プラサット・スゥル・プラット
象のテラスの正面に立ち並ぶ12の塔。4つの出入り口があり、宝物庫にしていたとか、綱渡りを見せるために使ったなどと推測されていますが、未だに使途は解明されていません。
⑦ クリアン
スーリヤヴァルマン1世とジャヤヴァルマン6世が創建に関わっています。
勝利の門へと続く道の南北に作られました。宿泊施設と言われていますが、未だに使途は不明のままです。
⑧ バプーオン
アンコール・トム建設初期にウダヤーディティヤヴァルマン2世によって築かれたピラミッド型寺院。
ラーマーヤナ(ヒンドゥ教叙事詩)を描いた壁面レリーフや空中参道が見ものです。
⑨ プリア・パリライ
巨大樹に押し潰されそうな中央祠堂が風情のある寺院。荒らされた形跡がなく、多彩なレリーフが削り取られずに残っています。
注目はインドラ神やアイラーヴァタをモチーフにした破風の彫刻です。
⑩ プリア・ピトゥ
5つの神殿とふたつのテラスを持つ寺院。誰が何の目的で建てたのか、いまだに分かっていません。
遺跡の傷みが激しく、訪れる人が少ないので女性だけでの訪問は避けましょう。
⑫ 勝利の門、死者の門
東の方角に用意された2つの門。勝利の門は勝ち戦で凱旋した兵士が通り、象のテラスで王の出迎えを受けます。
死者の門は戦士した兵が通る門で、バイヨン寺院にたどり着き、極楽浄土を祈られることになるのです。
アンコールワットの王と歴史
西暦 | 王名 | 遺跡名 |
---|---|---|
アンコール朝 1010年 ~1050年 |
スーリヤヴァルマン1世 Suryavarman |
建築物:ピミアナカス、クリアン |
アンコール朝 1050年 ~1066年 |
ウダヤーディティヤヴァルマン2世 Suryavarman II |
建築物:バプーオン |
アンコール朝 1066年 ~1080年 |
ハルシャヴァルマン3世 Suryavarman II |
建築物:? |
アンコール・トム遺跡の見学ワンポイントアドバイス
アンコール・トムの周囲の環濠はゴンドラ・クルーズができます。約1時間のロマンティティックな時間となるでしょう。夕方は水面が赤く染まり、ドラマティックです。
とても広大な遺跡ですので、見る順番が大事です。
朝一番にバイヨン寺院からスタートして、効率よくまわれるよう工夫しましょう。
現在、王宮はありませんが出土したものが散乱しています。王朝での暮らしを想像しながら見学すると雰囲気を味わうことができますね。
王宮の庭にあったとされる「ピミアナカス」の塔にはナーギー神(美しい蛇神)がやどり、夜な夜な王を誘惑したという言い伝えがあります。王は毎夜この塔を訪れたのだとか。
天と地をつなぐナーガ(蛇神)を通じ、神と交信していたのかも知れませんね。
アンコールトムのナーガ
ピミアナカス宮殿
アンコール・トム遺跡内見学の注意点
出土物には手を触れないように!
修復が進んでいない場所も多く、出土物が散乱したままになっている所もあります。アンコール・トムは世界遺産ですから、瓦のかけらでも貴重な文化遺産です。
偽ガイドにご注意!
見学していると、遺跡の説明をしてくれる親切な方があらわれる場合があります。後でお金を要求されることが多いので、払いたくなければ丁寧にお断りしましょう。
アンコール・トムの場所(Google MAP)
アンコール・ワットの少し北に位置します。
オールドマーケットから南大門まで、車で20分ほど。南大門は撮影ポイントがありますので、ここからアンコール・トムに入るのがおすすめコースです。
アンコールワットからも近く歩いて行く事も可能です。
アンコールワットの次に有名な遺跡で、観光に来たら見逃せない遺跡です。
プレ・ループ遺跡を見学出来るツアーのご紹介
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【グループ・混載ツアー】ツアーの魅力と見所:
午前はバイヨン寺院を含めアンコールトムに点在する大小様々な遺跡とガジュマルの巨木と共生するタプロームを巡ります。
午後からはついに念願のアンコールワットへ訪れます。
ほとんどの遺跡が東を正面としている中でアンコールワットは数少ない西を正面とする遺跡です。
その為、午後から夕方のアンコールワットは日の光をよく浴び写真撮影に一番最良な時間でございます。
日本語ガイドの説明を聞きながら、アンコール遺跡を1日で効率よく回り、またプノンバケンでは夕日を鑑賞しましょう!
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短期出張・滞在などでカンボジア・プノンペン滞在にゆとりのない方にオススメの世界遺産アンコールワットを日帰りで満喫出来てしまうツアーです。
鬱蒼と生い茂る木々の中、圧倒的な存在感を放ちながら泰然とした姿をし、一年中絶えることなく観光客を惹きつけています。
密林の奥深くに眠り続けていたこの遺跡は、実は発見されてから140年しか経っていません。
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【プライベート・貸切ツアー】ツアーの魅力と見所:
世界中から人々が集まるアンコールワットは、アンコール遺跡のお膝下シェムリアップから車で約15分の地点にあります。
鬱蒼と生い茂る木々の中、圧倒的な存在感を放ちながら泰然とした姿をし、一年中絶えることなく観光客を惹きつけています。
密林の奥深くに眠り続けていたこの遺跡は、実は発見されてから140年しか経っていません。
広大な敷地内には沢山の彫像が施されており、1日で見て回ることはほぼ不可能です。
特に、早朝/夕方に佇むアンコールワットはとても神秘的で、神様が宿っている感覚がします。
その姿は見た者全てを虜にするでしょう。
日本では味わうことのできない趣を肌で感じてみましょう!!
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