カイディン帝廟
Khai Dinh Tomb
グエン王朝の12代目皇帝のカイディン帝。在位期間は1916~1925年。
カイディン帝はほかの皇帝とは違い、フランス式建築を愛した皇帝としても知られています。
そのためカイディン帝廟もフランス建築を取り入れたものとなっており、それまでの中国様式とはまったく異なるのも特徴です。
グエン王朝は長く漢文が使われていましたが、現在のベトナム語のあたるクォック・グーに言語を改めたのもカイディン帝。
フランス文化を愛しフランスに魅了されたカイディン帝は、国民からの反発も多かったそうです。
カイディン帝廟の歴史と見どころ
1885年に生誕したカイディン帝は、フランスからの擁立もあって12代目皇帝に任命されました。
皇帝に就いたカイディン帝ですが、グエン王朝の本来の姿がなくなりものけの殻となっている状況を何とかしたいと考えていました。
しかし、フランスからの擁立によって皇帝に就いたこともあり、心の中で葛藤があったといわれています。
カイディン帝が皇帝に就いた時代、すでにフランスの統治下でした。フランスの圧力が強く、多くの法令を制定するも、そのほとんどはカイディン帝の納得いくものではなかったようです。
一例としては、以前まであった官僚登用試験がフランスによって廃止されていました。これは反仏勢力にもなりかねないという理由からです。このおかげで、優秀な官僚を輩出することもできずにいました。
カイディン帝が在位したときに、文字を漢文から現在のベトナム語のあたるクォック・グーに改められます。この背景にはフランスが大きくかかわっており、中国の影響が強い漢文を廃止しようという企みからでした。
フランス語同様、アルファベットを使うことを義務づけ、ベトナムの声調を交えた独自の言葉がうまれました。このように現在のベトナム語が生まれてから、実は100年ほどしか経っていないのです。
啓成殿の中に納められているカイディン帝像
それまでの建築スタイルとは全く異なる
フランスの顔色を見ながら政権を取っていたカイディン帝ですが、考えが変わる大きな出来事が起こります。
1922年、フランス・マルセイユで博覧会が開催されカイディン帝も出席しました。初めてのフランス訪問。そこで見たフランスの構造物にひどく感動したそうです。
そしてフエに戻ってからは、フランス文化を多く取り入れ始めます。
王宮の建物を改築するときにはあえてバロック様式にするよう命令。また自身の墓建設のときも、バロック様式を取り入れました。
華やかなレリーフや紋様、宝石が埋め込まれた壁など、カイディン帝廟はほかの帝廟とは違いヨーロッパ色が強くなっています。
カイディン帝廟はもともと1920年に工事が始まりましたが、フランスに渡航したあとの1923年には、フランス様式をまねるために増税を命じます。
親仏となったカイディン帝と増税の影響もあり、国民からは多くの反発を受けたそうです。
フランス帰国後に着工した建造物のほとんどはヨーロッパ色が濃いもの、それ以前に作られた建築は中国色が濃いものが混在しているのもおもしろいです。
カイディン帝廟がすべて完成したのは1931年。カイディン帝は完成を見ずに、1925年に亡くなりました。
カイディン帝廟を見学出来るツアーのご紹介
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カイディン帝廟のおすすめスポット
カイディン帝廟はほかの帝廟に比べ規模は小さめです。しかし豪華さはどの帝廟にも負けていません。
帝廟はフランスから取り寄せた鉄筋コンクリートが使われており、内部の飾り付けから建築様式まで華やかさを演出。見るものを圧倒させます。
① 啓成殿
カイディン帝廟にある寝殿です。豪華な内装は美しいの一言。
四季の花をかたどったモザイクデザインや金箔に貼られたカイディン帝像などがあります。天井に描かれている龍も見もの。
芸術品とも呼べる啓成殿は、カイディン帝廟のなかでもっとも見ごたえのある場所です。
② 碑亭
カイディン帝の功績が書かれている碑石が収められています。碑亭は龍のデザインにも注目してください。
フランス文化を愛したカイディン帝ならではの素材が使われています。
③ 拝庭
ずらりと並んだ石像は文官や武官を表しています。後方の石像に行くと前方とは違い、靴を履いていない石像に変わっているので、違いを見つけてみるのも楽しいです。
カイディン帝廟遺跡の見学ワンポイントアドバイス
カイディン帝はフランスだけでなく、アジア各国の文化にも精通していました。カイディン帝廟を見るときは、さまざまな文化にも触れてください。
碑石が置かれている碑亭には、龍の瞳にフランスワインの瓶が使われています。また啓成殿のモザイクデザインには、なんと日本のビール瓶が使われており「NIPPON」という文字が書かれているんです。
さらにカイディン帝が亡くなった時間で止まっている時計もあるので、見学する際には探してみてください。
世界中から集めらた磁器や瓶などをつかったモザイク
碑石が納められている碑亭
カイディン帝廟遺跡の場所(Google MAP)
フエ中心部から車で20分ほど離れた場所に位置しています。
周辺の帝廟と併せて自転車をレンタルして訪れる人も多いです。
フエのフバイ空港から向かう場合も約20分ほどかかります。フエ駅は市内中心部にあるため、同様に20分ほどの移動で訪れることができます。