アンディン宮
An Dinh Palace
アンディン宮は、グエン王朝の12代目皇帝カイディン帝が幼少期に実際に住んでいた住居です。
のちに、息子である最後の皇帝バオダイ帝に譲りました。
フランス文化に大きな影響を受けたカイディン帝は、西洋風に改築したためほかの建物とは大きく雰囲気が違います。
内部はまるで美術館のように展示されており、バオダイ帝が暮らした生活ぶりを見学することができます。
アンディン宮の歴史と見どころ
1902年に建てられたアンディン宮は、12代皇帝カイディン帝の皇太子時代の住居でした。建築された当時は、中国やベトナムの建築様式が使われていましたが、1919年にカイディン帝が現在の西洋風の建物に改築しました。
カイディン帝はフランス留学に行った際、フランスの建築様式に感銘を受けた人物として知られています。そのため帰国後は自分の住居だった場所を、西洋文化を盛り込んだ建物に改築します。
のちの1922年には、息子でグエン王朝の最後の皇帝となるバオダイ帝に譲りました。譲り受けたバオダイ帝は皇太子時代、自らの家族と生活します。
現在はカイディン帝やバオダイ帝が実際に使った家具や調度品が美術館のように展示されています。
1階はグエン等の歴代皇帝の陵墓の絵画が飾られており、2階はカイディン帝が皇太子時代に暮らした部屋を再現しています。
再現されたカイディン帝の部屋
門も黄色で統一されている
アンディン宮には当時としては珍しい、洋式のトイレが設置されています。タイル張りの床や石造りの壁、装飾など、まるで西洋に迷い込んだかのようです。
グエン王朝崩壊でバオダイ帝が退位すると、アンディン宮はベトナム政府に没収されました。
多くの肖像画がある中、1階の6枚の肖像画は漆喰で上塗りされてしまいます。しかし、ドイツ政府の支援により2003~2008年にかけて復元され、現在の姿を保っています。
余談ですが、グエン王朝時代には既にアオザイ(ベトナムの民族衣装)がありました。当時のアオザイは、黄色を使うことは許されていなかったそうです。
黄色は皇帝を象徴する色ということ。アンディン宮も黄色の壁で作られており、特別な色だったことがうかがえます。
アンディン宮を見学出来るツアーのご紹介
貸切!フエ市内1日プライベート観光ツアー
ツアーの魅力と見所:
見どころが多いフエだからこそおすすめの自分のペースで周れる貸切ツアー。
グループツアーでは訪問場所は選べませんが、自由に訪問場所をアレンジできるのが貸切ツアーの特権です。
また、他のツアーとは違い、昼食をフエの宮廷料理にアップグレードすることもできます。
ベトナム広しと言えど、伝統的な宮廷料理が残っているのはここフエだけ。フエでとれる食材を使った、王朝時代より伝わる宮廷料理をお召し上がりいただけます。
アンディン宮の見学ワンポイントアドバイス
アンディン宮は、新市街地の南側に位置しアンクー川に面した場所です。近くにはフエ教会があります。
入り口はフエ教会側と、アンクー川沿いの2ヵ所ありますが、夕方は川沿い側しか開いていないのでこちらを目指してください。
黄色いクリーム色のアンディン宮は「安定宮」と書き、実際にその看板も掲げられています。
展示されている黄金に輝く調度品や装飾は見事で圧巻。フランスの影響を色濃く残したアンディン宮は、ベトナムにいることを忘れるほどです。
絵画や写真も展示してあり、当時の様子がわかるようになっています。
2階のテラスからは中庭を一望できます。綺麗に整備された中庭は、カイディン帝やバオダイ帝の癒やしの場所だったのかもしれません。
幼少期のバオダイ帝像
2階テラスからの景色
アンディン宮はフランス建築を主流にしていますが、ところどころに中国やベトナム建築も垣間見ることができます。
建築に興味のある方は、そのあたりも注目して見学してみてください。
ドイツ支援で復元されたバオダイ帝の絵画も見ものですが、注目してもらいたいのが皇后だったナンプーンの肖像画です。この肖像画は、じつは日本人画家が描いたもの。
額には「関口俊吾」と書かれています。
バオダイ帝の時代、日本とも関わりがあったことがこの肖像画からもわかります。
アンディン宮の場所(Google MAP)
アンディン宮はアンクー川沿い、フエ新市街の南に位置しています。
フエ王宮からは車で10分ほどと、併せて訪れやすいロケーションです。王宮から徒歩だと40分ほどかかりますが、新市街のホテルからは近いので街歩きがてら訪れるのもおすすめです。