スラ・スラン遺跡とは
About Srah Srang Remains
「バンテアイ・クデイ」の正面にある大池がスラ・スランです。
東西約700m、南北約300mの広さを持ち、一見すると大きな湖のよう。「バイヨン寺院」や「バンテアイ・クデイ」の建築に携わったジャヤヴァルマン7世が作った王のための沐浴池です。
池の周囲はウォーキングコースになっていて、地元の人が散歩したり、デートをしたりと、のどかな風景が楽しめます。
観光客は少ないものの、朝日と夕日の鑑賞スポットとして有名です。
スラ・スランの西側のテラスから見ると池の反対側から朝日が昇り、池の水をキラキラと輝かせます。障害物のない美しい水面に朝日が映り込んでとても幻想的。
テラスのシンハ(ライオン)像もサンライズを鑑賞しているように見えます。
テラスの対岸である池の東側周壁は夕日の絶景スポットです。昼間は空の青さを映していた池の水が沈む太陽の色を映して金色に染まっていきます。
目の前で沈んでいく太陽を見ながら雄大な気分に浸りましょう。
「バンテアイ・クデイ」が造営される前の僧院「クデイ」と関係があるようで10世紀頃には原型がはっきりとしていました。僧侶達が使った施設なのかも知れませんね。
その後、「バンテアイ・クデイ」の完成に合わせてテラスや周壁が造られました。
スラ・スランの歴史と見所
10世紀頃には原型が完成しています。池を掘ったのは「バンテアイ・クデイ」の前にあった僧院「クデイ」を建築したラージェンドラヴァルマン2世王です。
「クデイ」と関連付けられた施設だったと言われています。
12世紀末頃、ジャヤヴァルマン7世が「バンテアイ・クデイ」を増改築した際、一緒に整備されました。
テラスや周壁が加えられ、階段で池に降りられるようにしたのです。池中央の小島には他バライ(人口貯水池)と同じく祠堂が建てられていました。
東西約700m、南北約300mの王のための沐浴池で、「象の水浴びを禁じる」旨の碑文が残ります。
象以外だったら良いのでしょうか?これだけの広さですから王のためだけではぜいたくというものです。
「バンテアイ・クデイ」の人々や近隣の民のために開放していたのかも知れませんね。
この遺跡の最大の見どころはサンライズ、サンセットです。
朝日鑑賞の聖地である「アンコール・ワット」とは異なり障害物が一切見えません。水面に映り込む朝日が美しく幻想的です。西側のテラスからのんびり眺めるのが良いでしょう。
夕日は東側の周壁に座り鑑賞します。
水面を黄金に輝かせながら沈んでいく太陽との距離が近く、神々しく思えることでしょう。「プノン・バケン」や「プレ・ループ」と違い、急勾配を登らなくても良いので地元の人から人気の穴場スポットです。
サンライズ鑑賞に最適な西側テラスにはシンハ像が水面を見守り、池の周囲は蛇神ナーガの欄干があります。
ナーガは水と豊穣をもたらす神で、天と地上をつなぐ架け橋の役割をしたり、天気を制御する力を発揮したりするのです。
スラ・スランの歴史
西暦 | 王名 | 遺跡名 |
---|---|---|
944年 〜 968年 |
ラージェンドラヴァルマン2世 |
主な建築物:プレ・ループ、東メボン、クデイ、ピミアナカスなど |
1181年 〜 1218年 |
ジャヤヴァルマン7世 |
主な建築物:バイヨン寺院、タ・プローム、バンテアイ・クデイ、スラ・スランなど |
スラ・スラン遺跡の見学ワンポイントアドバイス
「バンテアイ・クデイ」の正面にあるので、一緒に回る見学コースとして見やすいポイントです。
初めて訪れる方は、サンライズ、サンセット鑑賞を絶景ポイントで確実に見るためにツアーで回った方が良いでしょう。
この周囲には小さな遺跡が点在しており、道が遺跡と遺跡をつないでいます。
2回目以降、少し慣れてきたらレンタサイクル(自転車)が便利です。ガイドブックに載っていない、まだ名前もついていない未解明の遺跡も見ることができるでしょう。
自転車でしたら、気軽に立ち寄りやすいですね。立ち寄る際は遺跡の保存状態に気をつけてください。足場の悪いところもあります。
危険だと感じたら、楽しい旅行を続けるためにも外側から鑑賞するだけにとどめましょう。
スラ・スランは地元の人が池の周囲でのんびりとくつろいだり、子供達が池に入ったりする気軽な場所です。景色を眺めながらリフレッシュしてください。
景色を眺めながらリフレッシュ!
のどかでゆっくりした時間が過ごせます
池の周囲には観光客向けのクメール料理レストランが数多くあります。ランチタイムや休憩で味わってみるのはいかがですか?
1964年のフランス考古学チームの発掘調査により、池の北西部分で大規模なネクロポリス(墓所)が見つかりました。
火葬後の骨を入れる蔵骨器がたくさん発見されたことから共同墓地として使われていたことがあるようだと考えられています。
その後の調査に進展がないため、どの時代のものなのかなど真相は明らかになっていませんが、謎めいた場所であることは事実です。
スラ・スラン遺跡の見学の注意点
虫よけスプレーは必須アイテム!
水があり、暑い場所と言えば虫がたくさんいます。忘れずに携行しましょう。
単独行動は避けたい場所です
地元の人は多いものの、観光客がまばらな場所です。朝日鑑賞はともかく、夕日鑑賞が終わった後は急速に暗くなりますので、注意しましょう。
スラ・スラン遺跡の場所(Google MAP)
「アンコール・トム」の東南の角から東方向の軸上に位置します。手前に「バンテアイ・クデイ」。
同じく東の軸上に並びます。シェムリアップ・オールドマーケットから車で25分ほど。
見学所要時間は約15分~30分です。