巨大な涅槃像でお馴染み!バンコクの涅槃寺「ワット・ポー」なぜこれほどまで巨大な涅槃像が建設されたのか。時代背景と歴史から紐解きます。

バンコクの涅槃寺「ワット・ポー」

タイ旅行がお好きな方は、「ワット・ポー」をご存じかと思います。そして、「ワット・ポー」と言えば涅槃像(ねはんぞう)が有名です。ところで、この「涅槃像」の「涅槃」とは、そもそもどういう意味なのか、ということを皆様はご存じでしょうか?

この記事では、バンコクの涅槃寺「ワット・ポー」に、なぜ巨大な涅槃像が建設されたのかについて、時代背景と歴史からその謎に迫ります。

「ワット・ポー」とは

バンコクの涅槃寺「ワット・ポー」

ワット・ポーは、バンコクにあるワット・アルンやワット・ベンチャマボピット(大理石寺院)と並ぶバンコクの第一級王室寺院です。非常に大きな涅槃仏(寝釈迦像)で有名なことから別名「涅槃寺」と呼ばれています。

「名前が長くて複雑であればあるほどお寺のありがたみが増す」という考え方をもとに、ワット・ポーの正式名称は、「ワット・プラチェートゥポンウィモンマンカラーラーム=ラーチャウォーラマハーウィハーン」となっています。なお、豆知識ですが、このワット・ポーなどの「ワット」は英語表記にすると「Wat」となり「お寺」を意味します。

涅槃(ねはん)とは

バンコクの涅槃寺「ワット・ポー」

涅槃とは、別の表現を使うと「ニルヴァーナ」ともいいます。もともとインドの言葉である「ニルヴァーナ」にそのまま中国語の漢字をあてたものです。意味から翻訳した言葉では「滅度(めつど)」ともいいます。

意味は「吹き消すこと」で、欲や怒りやねたみそねみなど、一切の煩悩の火を吹き消した最高のさとりの境地のことを「涅槃」とか「ニルヴァーナ」あるいは「滅度」と言います。

ワット・ポーの涅槃像は、「無余涅槃」であり、お釈迦様の最後のお姿ではないかと言われています。高さ約15メートル、長さは約46メートルという大きさになったのは、残された弟子や信仰していた人々のお釈迦を見送る気持ちが反映されてからではないでしょうか。

4、バンコクの涅槃寺「ワット・ポー」建立の時代背景と歴史について

バンコクの涅槃寺「ワット・ポー」

ワット・ポー建立の歴史について

バンコクの涅槃寺「ワット・ポー」

まず初めに、「ワット・ポー」は、「バンコクで最も歴史のある古いお寺」であり、「タイに初めて出来た大学」、「タイ古式マッサージの総本山」という三つの側面を持っています。それでは、それぞれの側面に着目してみましょう。

「バンコクで最も歴史のある古いお寺」という側面

バンコクの涅槃寺「ワット・ポー」

ワット・ポーの寝釈迦像は圧巻ですし、多く並ぶ仏塔もこれまた圧巻で、とても見応えのある寺院です。ワットポーは1788年にラーマ一世によって建てられたことがはじまりです。ワット・ポーの敷地面積は約8万平米と広く、南側と北側に分かれています。一つは観光客向け用の北側ともう一つは僧侶の過ごす南側になります。

「タイに初めて出来た大学」という側面

バンコクの涅槃寺「ワット・ポー」

ワット・ポーにおいて施されていた教育の学問分野としては、医学、文学、芸術でした。ラーマ3世(1824年-1851年)の治世のもとで、こういった学問的知識を一般の人でも読んで学べるように、寺院内の大理石に刻んで残すという方策が採られました。

1937年のタイ国の国勢調査で10歳以上の国民のうち約三割の人の識字が確認されており、ラーマ3世(1824年-1851年)の活躍した1800年代のタイ国内の識字率に関する統計情報はありませんが、「仏教国における寺院」という公共性の高い施設で広く遍く人々を対象にして医学、文学、芸術の知識を広めようとしたことは大変な偉業です。

「タイ古式マッサージの総本山」という側面

バンコクの涅槃寺「ワット・ポー」

「タイに行ったらタイ古式マッサージを絶対に受けよう!」と決めている方もいらっしゃるかと思います。そんなタイ古式マッサージの総本山が、実は「Wat Pho(ワット・ポー)」なのです。

ワット・ポーにおいては、現在も「タイ伝統医学・古式マッサージ学校」が併設されており、そのマッサージを寺院内で体験できるのです。宗教的な側面、学問機関的な側面、マッサージの技術の本家家元の側面という多面的な価値を持つのがワット・ポーなのです。

ワット・ポー建立当時の時代背景の概略

バンコクの涅槃寺「ワット・ポー」

ここまでワット・ポーについてのお話を進めてきました。改めてお話を整理すると、ワット・ポーの価値とは「ラーマ3世(ナンクラ王)がタイ伝統医学を粘板岩の石板に刻ませ、そしてラーマ5世がさまざまな医療に関する本の整理と編纂をしたという歴史を持つ、マッサージの学校を備えたお寺」ということになります。

まとめ

タイに行くのなら、ワット・ポーはぜひとも行ってみたいお寺の一つです。仏教国であるタイの文化的な雰囲気を存分に楽しまれることを願っています。