ミャンマー最大の都市・ヤンゴンから飛行機で1時間ほどの場所にあるバガンは、カンボジアのアンコール・ワット、インドネシアのボロブドゥールとともに世界三大仏教遺跡のひとつと称されている古都。2019年7月に晴れて世界遺産へ登録されました。
バガンは11世紀にビルマ族による最初の統一王朝が築かれ、13世紀にモンゴル軍に滅ぼされるまでの約250年間、平野部一帯に3000を超える大小様々な仏塔や多くの寺院が建立されました。広大な緑の平原に無数の仏教遺跡が立ち並ぶ光景は圧巻です。今回はそんなバガン遺跡の中でも、絶対に外せない見所や代表的な建築物をご紹介します。
シュエズィーゴン・パヤー (Shwezigon Paya)
高さ40メートルほどの黄金に輝くパゴダです。シュエは黄金、ズィーゴンは勝利・栄光・祝福の土地という意味。バガン王朝を代表する宗教建築物で、仏陀の額骨と歯が納められていると言われています。
パゴダ全体を包むまぶしいほどの輝きは、金箔を貼り付けることにより維持されており、観光客でも金箔を購入して貼ることが可能。およそ5センチ四方の金箔を購入し、仏塔に貼り付ければ徳を積んだ気分を味わえます。
アーナンダ―寺院 (Ananda Temple)
高さ50メートルとバガン遺跡にある寺院の中でも最も大きく、かつ最も美しいと言われている寺院。1090年チャンスィッター王により建てられ、バガン最大でありながら美しいバランスを保つその姿は、”アーナンダ寺院に行かずしてバガンに行ったというべからず”と言われるほど。
本堂は一辺が63mの正方形で4つの入口があり、本堂の中央にある高さ9.5mの過去四仏(黄金に輝く仏像4体)は圧巻です。
タビニュ寺院 (Thatbyinnyu Temple)
高さ65メートルとバガン一の高さで、圧倒的な貫禄のタビィニュ寺院。1144年にバガンの4代目王アラウンシートゥーにより建てられ、オールドバガンの壮大な原野にそびえ立つ姿は仏陀を意味する”全知者”とも呼ばれています。1階ではアーナンダ寺院同様、黄金に輝く美しい仏像を観ることができます。
ダマヤンジー寺院 (Dhammayangyi Temple)
1165年創建の「ダマヤンジー寺院」。アーナンダ寺院と同様の建築様式で、洞窟をモチーフにした寺院です。父王と兄王子を殺して王位に就いたナラトゥ王が罪を償うために建設を始めた寺院ですが、国王自身も建設途中で暗殺されてしまったために現在も未完成のままとなっています。
また理由は不明ですが、寺院の内部はレンガで覆い塞がれています。これもナラトゥ王が暗殺された場所だからという説も。そんな因縁があることから、地元では心霊スポットとしても有名で夜になると幽霊が出るという噂もあるのだとか。
ティーローミンロー寺院 (Htilominlo Temple)
1218年建立のティーローミンロー寺院。高さは46メートル、北インドをルーツとしている装飾的なタワー “シカラ(sikhara)”があり、金色に塗られていない以外は、アーナンダ寺院と同じ様式で3層の構造を持つ荘厳な寺院です。ティーローミンロー寺院のティーローというのは”傘で選ぶ”、ミンローは”王になる”という意味。
なぜこのような名前が付いたかというと、一説には王位継承者を決める時に傘を使い、傘が倒れた方向に立っていたナンダウンミャーを後継者として選んだことが由来とされています。
寺院の1階には表情の異なる4体の仏像が収められており、指が空を指しているデザインはバガン時代の特徴。また内部には仏教を描写した壁画が残り、占星術のホロスコープも残されています
バガン・ビューイング・タワー (Bagan Viewing Tower)
画像:TripAdvisor
オウリウム・パレスホテルにあるのが、「バガンビューイングタワー」バガン遺跡を一望できる、高さ60メートルの展望塔です。地平線の先まで見渡せる平地に、何千もの仏塔が立ち並んでいる風景は絶景。展望台からは日の出はもちろん、360度の眺望が満喫出来ます。
建物に入って11階の展望レストランまでエレベーターで直行可能。レストランから螺旋階段で上まで上がると、オープンスペースで360度のパノラマ風景が楽しめる展望台へ。
2018年以降、眺めの良い仏塔のほとんどは登頂禁止になってしまったため、平原にあるバガンで日の出や夕日を望むのに最高のスポット。天気が良いときだけでなく、朝もやの中にいくつもの仏塔が朝日を浴びて赤く浮かび上がる姿は、バガンだからこその景色です。
シュエサンドー・パヤー (Shwesandaw Paya)
バガンの観光ではずせないのが、広大な大地に点在する仏教建築を赤く染めながら沈む夕日の鑑賞。この仏塔は特にサンセットスポットとして有名で、この美しい夕日を見るために何日も滞在する人も。
宝石をちりばめた傘が付いた円筒形の仏塔が付いた五層のテラスを持つ見事な仏塔ですが、現在は仏塔への登楼は禁止となっています。
まとめ
壮大な景色の中に佇む仏塔はバガンの代名詞。今回はその中でも代表的な建物をご紹介しました。代表的なものとなると、煌びやかなものや大きなものばかりに目がいきがちですが、自然のままにひっそりと朽ちてゆく姿もまた美しいものです。
またいくら美しい景色とはいえ、何度も注意書きをしているように仏塔に上る行為は禁止されています。バガン・ビューイング・タワーや熱気球、近くの小高い丘を利用するなどしてマナーを守って鑑賞しましょう。