日本に十五夜での風習があるように、ベトナムにも中秋節の伝統的な風習が数多くあります。今回は中秋節と月餅について詳しく解説していきます。昔から現代までの中秋節の風習についても変化があり、それを知ることができるので、ぜひ読んでみてくださいね!
中秋節「テト・チュン・トゥー」とは?
中秋節とは日本でいう十五夜で、ベトナム語でテト・チュン・トゥーと言います。中国から伝わった節句ですが、ベトナムでも月を愛でる日とされ、お月見や豊作を感謝する伝統的な風習となってます。
旧暦の8月15日に毎年行われます。グレゴリオ暦では9〜10月に行われ、2021年は9月21日にあたります。では早速ベトナム中秋節の歴史とベトナム人の過ごし方はどんな風なのか、についてお話ししていきます。
言い伝え
日本では月でうさぎが餅つきをしているという言い伝えを聞いたことがあるでしょう。ベトナムの中秋節はクオイの伝説が起源と言われています。
ある日、クオイの妻がカジュマルという木の辺りで用を足したことがきっかけで、聖なる木を汚してしまいました。その後クオイの妻は木の枝に座るのですが、どんどん木が成長していきいつの間にか月まで伸びていったそうです。クオイは妻が地上に戻れるよう、灯籠行列を行ったというのが伝説で有名です。
過ごし方
お正月のように家族揃ってご飯を食べるのが主流で、帰省する人もいます。また宴会をすることもあります。また、子供達は夜遅くまで遊ぶことを許可され夜の屋台に出かけるなどもあります。
日本は月を眺め、ススキや月見団子を添えながら静かに過ごす一方、ベトナムはとても賑やかな雰囲気です。
中秋節の伝統的な風習を一挙公開!!
ベトナムの中秋節に行う風習は灯籠や獅子舞が挙げられ、今では子供のための日とし伝統が受け継がれています。古くから大切にされてきた数々の風習はもちろん、時代が進みより新しい形での風習も取り上げていきます。
中秋節の風習
中秋節の伝統的な風習はお月見祭りです。
ベトナムは古くから稲作文化があり、中秋節になると農家の人々は収穫の一休みということで庭などの広いところで月を眺め、今年の収穫を祝い、今後の豊作を祈るためのお祭りで、ほとんどの家で宴会が行われます。お供物としては紙で作った博士や果物、月餅を飾るのが昔ながらの風習です。
灯籠
ベトナムの中秋節で1番の醍醐味は灯籠です。
灯籠行列があり、先程のベトナム中秋節の起源でお話しで出てきたクオイのために古くから行われています。昔は灯籠が紙製でしたが、セロファン製に変わり強度がついたり、キャラクターの描かれた灯籠、きらきら光るまたは音がなるプラスチック製の灯籠など新しい灯籠がたくさんあります。
大都市や中華街ではイベントがあり、大きな都市では灯籠街(フォーロンデン)と呼ばれる催しがあり、灯籠はもちろんゲームやおもちゃや食べ物など様々な屋台により賑わいます。
ハノイではHàng Ma(ハンマー)通りが有名で、ホーチミンはNguyễn An(グエンアン)通りやNguyễn Trãi(グエンチャイ)通り、Trần Hưng Đạo(チャンフンダオ)通り、Lương Nhữ Học(ルオンニューホック)通りで賑わいます。
獅子舞
日本でも秋の祭りなどで獅子舞を被り、街を歩くことをする地域もあります。ベトナムにも古くから獅子舞は悪いものを祓ってくれ、幸運を呼び寄せてくれる事から伝統的な風習の一つとなっています。
男性がそれぞれ獅子舞の胴体と頭に分かれて被り、踊ります。そして、夜に太鼓を手にし、街を出回ることをします。しかし現在は、都市部は交通安全のためや、人が多い事から獅子舞は危険とされ一部の地域で見られます。
子供たちのイベント
現代では子供のための日とも言われてます。灯籠を持ち、お面を被り学校に行くと先生からお菓子をもらえることや親からもお菓子やおもちゃを買って貰えるため子供たちにとって中秋節は楽しい時期なのです。
また、貧しい子供達のために文房具やおもちゃをあげるボランティア活動も行われているそうです。
「ファー・コー」
ファー・コーとは、中秋節でみんなが集まり宴会をした後に、月餅やお菓子などのお供物をバラバラにしたり奪い取ったりする風習です。大人の人がお供えのものを配ったりもします。
月餅「バイン・チュン・トゥ」とは?
月餅はベトナム語でバイン・チュン・トゥと言われ、日本でいう十五夜のお月見団子のようなもので、ベトナムの伝統的なお菓子です。古代はお供物だったのですが、近年では親しい人への贈り物として人気です。中秋節になると、街中のスーパーで売られます。
ではベトナムの伝統的なお菓子、月餅はどんな味がするのでしょうか?また、今注目を集める新しい月餅について紹介していきます!
月餅ってどんな味がするの?
月餅は薄い小麦粉で作られた皮の中に餡子が入ってます。餡には緑豆や胡麻、ナッツが含まれています。また、このお菓子の大きな特徴として、甘さと塩辛さを一度に体験できるお菓子なのです。その理由として、餡子の中に月をイメージさせる塩漬けの黄身や豚肉を入れるからです。
日本人の口には合う合わないの個人差もありますが、一度ベトナム伝統のお菓子を体験してみるのもいいですね。
食べてみたい!月餅を紹介
ベトナムに馴染み深い伝統的な月餅を売ってるお店と、新しい月餅をそれぞれ紹介します。
NHU LAN(ニューラン)の月餅
ニューランは元々はベトナムのベーカリー屋さんで、今では有名な肉まんやバインミーの他にもサンドイッチや麺類などベトナムのB級グルメが揃っています。
約20年前くらいからニューランはベトナムの月餅と言ったらここだ!と言われるほど有名で、伝統的な月餅を味わうことができます。今でも元祖の月餅はパッケージは赤、金色なのが特徴です。
スターバックスの月餅
引用:https://www.facebook.com/starbucksvietnam/photos
世界的に有名なチェーン店であるスターバックスも一部の地域で月餅を販売してます。主に、中国や台湾、香港、シンガポールなどで売られています。味は抹茶あんこやエスプレッソキャラメルクランベリー味など様々で全6種あります。
こちらは和菓子っぽさがあるので日本人も好む味です。1個約800円ほどかかりますが、年に一度出るレア商品なのでニューランの月餅と比較してみる価値はあると思います。
まとめ
以上より中秋節とは何か、伝統的な風習からお祭り、そして月餅と注目のお店を紹介しました。日本の十五夜や秋祭りとベトナムの中秋節とではたくさんの違いがあったと思います。それぞれの伝統的な風習を理解し、大切にしていくことがとても大事だと思います。
月餅を食べてみたいけどなかなか買いに行けない場合は、調べてみると簡単なレシピが載っているので月餅を作ってみるのもいいですね!