アンコール朝最大の巨大貯水池「西バライ」アンコール朝の強大さが伺える謎多き”バライ”の歴史と変遷をご紹介します。

アンコール地域最大の貯水池「西バライ」

カンボジアの広い水辺といえばトンレサップ湖ですが、シェムリアップの西方面に人の手で造られた大きな貯水池があるのをご存知ですか?今回はアンコール地域最大の貯水池「西バライ」をご紹介します。

西バライとは?

アンコール地域最大の貯水池「西バライ」

西バライは東西約8km、南北約2.2kmものアンコール地域で最も大きい貯水池です。ここでは現地の人々が焼き鳥や焼き魚を食べながらハンモックに揺られて休日を楽しんでいます。

アンコール地域最大の貯水池「西バライ」

池に貯められた水は灌漑(田畑に人為的に水を供給すること)や生活用水としても使われています。灌漑や生活に活用する以外にも、池では子供が泳いでいたり、ピクニック好きの大人たちがゆったり水辺を眺めていたりと、地元の人々の憩いの場になっています。

西バライの歴史

歴史アンコール地域最大の貯水池「西バライ」

西バライの建設はクメール王朝のスーリヤヴァルマン1世が王として統治していた時代から始まったと言われています。その後ウダヤーディチャヴァルマン2世が王となったころに完成しました。

歴史アンコール地域最大の貯水池「西バライ」

西バライの建築様式は、建設当時より前の時代のものも取り入れた造りになっています。王朝が衰退していくとともに土砂が溜まり、一度は機能を失いましたが、カンボジアを保護国としたフランスが1940年代に再整備し、今に至ります。

また、西面から土器の破片などが出土したことと、付近で見つかった銘石碑を根拠に西暦713年に女王ジャヤデーヴィからこの土地に田が提供されていたことから、ここには大昔に人々が住んでいたのではないかと言われています。

一周がハーフマラソン級の貯水池

ハーフマラソン級の貯水池アンコール地域最大の貯水池「西バライ」

西バライのスケール感が一番伝えられる例えは、池の周囲を一周した際の距離だと思われます。なんと、池を一周するとハーフマラソンの距離に相当します。人為的に造られた池としては驚くほどの大きさです。

アンコール地域最大の貯水池「西バライ」

雄大な水面は、風がない日は一見するとウユニ塩湖を彷彿とさせる、まさに天空の鏡とも呼べるような景色です。ちなみに現地の人に交じって水遊びをするのも楽しいですが、肌の弱い方はあとでかゆみが出ることがあるのでご注意ください。

ピクニック気分で散策

ピクニックアンコール地域最大の貯水池「西バライ」

西バライでは、ピクニックが好きなカンボジア人たちが楽しめるように必要なものがすべて現地で調達可能です。レジャーシートやちょっとしたおつまみ、ビールまで買うことができます。

ピクニックアンコール地域最大の貯水池「西バライ」
観光の時間が余ったなどの理由で、突然西バライを訪れることがあっても大丈夫です。何も持たずに気軽に遊びに行けるところも、現地の人々に親しまれる一因かもしれませんね。

ハンモックレストラン

ハンモックアンコール地域最大の貯水池「西バライ」

池の近くにはハンモックレストランが並んでいます。メニューは主に焼き鳥や焼き魚、中には焼きガエルのような変わり種もあり、全体的に焼いただけのシンプルな調理のものが多いです。丸ごと焼いた魚は見た目のインパクトもあり、食欲をそそります。

アンコール地域最大の貯水池「西バライ」

池の南西の方のハンモックレストランは観光客の少ない、より現地の人向きになっています。こちら側は土産物店なども少ないようなので、現地ののどかさを体感するなら南西側のハンモックレストランがおすすめです。

日暮れの西バライ

アンコール地域最大の貯水池「西バライ」

西バライは夕日が美しいスポットとしても人気です。空を見上げる際、障害物が少ない場所なので夕日がよく見える上、空が水面に映ってフォトジェニックと評判です。ゆったりとした時間の流れの中で、何も考えずにぼんやり過ごす贅沢に浸ってみてはいかがですか?

気球から一望

アンコールワットの西で揚げている気球からも、西バライを観ることができます。上空から見る西バライは長方形の池の形がはっきりとわかり、これだけ大きい池でも本当に人の手で作られたのだということを物語っています。大昔にこれだけの大きさの貯水池を人力で作り上げた苦労は計り知れません。

この気球は、熱気球ではなくヘリウムガスの入ったガス気球で、約120m地点まで揚がります。熱気球と違い右へ左へと動くことはできませんが、空ではよく起こる気流の変化に影響されにくく、安全に地上を見下ろすことができます。乗客が乗るバスケット部分はドーナツ状になっており、最大20人が乗ることができます。

ただ、午後には気流の変化が出やすく、運休せざるを得ない場合があるため早朝がおすすめです。日の出・日の入り頃の料金は、大人は25US$、6~12歳は15US$、6歳未満は無料です。それ以外の日中は料金が異なり、大人15US$、6~12歳7US$、6歳未満無料となっています。

営業時間は5:00~19:00です。約10分間の空の旅をお楽しみください。アンコールワットやプノンバケンも観ることができ、人気の高い観光手段となっています。ですので、できるだけ予約をしておくことをおすすめします。

2つの遺跡

西バライには、実は遺跡が2つあります。

西メボン

西メボンアンコール地域最大の貯水池「西バライ」

西バライの貯水池中央にある、ウダヤーディチェヴァルマン2世によって建立された寺院です。現在は塔門と回廊の一部のみが残っています。寺院の中央にある井戸は、貯水池とつながっており、かつてはここで西バライの水位を測っていたと言われています。

貯水池中央にあるため、西メボンには船に乗って行くことになります。西メボンに入るには、アンコール遺跡群の共通チケットである「アンコールチケット」が必要です。

アック・ヨム

アック・ヨムアンコール地域最大の貯水池「西バライ」
土産物店の近く、南西の方にある遺跡がアック・ヨムです。人もほとんど訪れない、5分もあれば見て回れる程小さい遺跡ですが、それだけに森の中に人知れず隠されていたような佇まいが、気に入る人にとっては堪らないと思わせる遺跡です。

アック・ヨムアンコール地域最大の貯水池「西バライ」

人がいないだけに、虫の多い場所ですので、見る予定がある場合は虫除けはしっかり対策しておきましょう。アック・ヨムはアンコールチケットも必要なく、自由に見学できます。

西バライへのアクセス

タクシーやトゥクトゥクでシェムリアップ市内から片道30分程かかります。トゥクトゥクのおおよその相場は12~15US$です。車や自転車で自力で行くことも十分可能です。

ただし、自転車で行く場合は片道1時間はかかりますので、帰りの時間には十分注意して行動しましょう。

まとめ

アンコール地域最大の貯水池「西バライ」

西バライは単なる貯水池ではなく、カンボジアの人々の営みや休日をのびのびと過ごす様子に触れられる温かみのある場所です。現地の人々のありのままの生活を見たくなったら、ぜひ西バライを訪れてみてくださいね。
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*記事内で「弊社催行ツアー」などと記載されてるものは現在では提供しておりません。TNKトラベルのツアーはすべて提携ツアー催行会社が提供しております。