バンテアイ・スレイとは
まず、この遺跡の由来についてです。「バンテアイ」は砦(とりで)、「スレイ」は女という意味があり、「女の砦」と呼ばれます。女性兵士のために作られた砦です。「クメール美術の至宝」と称されるだけあって、最初の門から精巧な彫刻が並んでいます。
アンコール・ワットなどの遺跡群は、黒っぽい石の遺跡のイメージが強いかと思います。一方、今回のバンテアイ・スレイは赤い砂石の遺跡なので、全体的に赤っぽいイメージです。
この赤い色が独特の雰囲気を出しています。そして、彫像もアンコール・ワットなどより、濃く深く掘ってあるのも見どころです。他のアンコール遺跡よりも保存状態が良く「アンコール遺跡郡随一の保存状態」と言われるのもバンテアイ・スレイの特徴です。
Banteay Srei
バンテアイ・スレイの成り立ちや歴史
バンテアイ・スレイは、ヒンドゥー教の寺院の遺跡です。アンコール朝時代の王様(ラージェンドラヴァルマン王)が建設を命じ、967年に完成されました。中心でこの寺院を作ったのが王様の代わりに政治をしていたヤジュニャヴァラーハです。
これだけの彫刻の技術なので当時の芸術家が集って作られたとされています。1000年以上前にここで懸命に戦っていた女性たちの為の場所だったのですが、戦いが終わってアンコール朝とともに衰退していったので、この遺跡の存在も忘れられていました。
しかし、再度1914年に発見されて、1923年フランス人冒険家作家のアンドレ・マルローが像を盗もうとした事で注目を浴びることになりました。(マルローは自身の小説「王道」にこのことを書いています。)
謎多き「東洋のモナリザ」はどの女神のこと?
南祠堂の南向けの彫像が「東洋のモナリザ」とされています。(ちなみに近くにも似た構図のデヴァダー(女神)像はあります)しかしこのデヴァダー像は、残念ながら遠目からしか見られないようです。
先ほど書いた「像を盗み出そうとしたマルローの一件」があってから「バンテアイ・スレイ」の欧米人気に火がつき、この有名になったタイミングで「東洋のモナリザ」と名付けられたとされています。
1000年以上も人知れずに美しいままで存在し続けたデヴァダー像なので「謎多き」と言われるのでしょう。デヴァダー像の「神秘的なほほえみ」を細部までじっくりと見たい方は双眼鏡で見る事をおススメします!(保護ロープから10mほど距離あり)
このデヴァダー像、朝日を受けた美しさが格別だということで朝から多くの方が訪れています。
バンテアイ・スレイのその他の見どころ
「東洋のモナリザ」以外の塔門にも細かい彫刻があります。門だけではなく、石柱にも、きっちりと深く彫刻が遺跡全体にあるのも見どころです。ヒンドゥー教における神話がテーマで「踊るシヴァ神」や「ラクシュミーが象の聖水で身を清めている場面」など、彫像にも物語があります。
彫像に詳しいガイドさんに聞きながら遺跡を巡るとより楽しめますよ。
バンテアイ・スレイの概要
【住所】
シェムリアップ市街から車で1時間前後。北北東へ約40キロほどです。(比較的近くのベンメリア遺跡からも一時間ほどかかります)トゥクトゥクだと赤土の中をガタンガタンと進んでいきます。砂ぼこりがすごいです。マスクの着用をおススメします。砂ぼこりを避けたい方や長時間の移動を考えて、車をチャーターする方もいます。
【お手洗い】
遺跡に入る前にキレイなお手洗いがあるので、先に行っておくことをお勧めします。
【開場時間】
AM5:30から空いているので、早朝の人の少ない時間が好きな方は早起きして見てみてください。早朝のトゥクトゥクは寒いので防寒着はお忘れなく!運が良ければ朝日に照らされた「東洋のモナリザ」も見られますよ。
【入場券】
アンコール・エンタープライズという所で、遺跡群全般の入場券「アンコール・パス」が買えます。(アンコール・ワットなどと同じです)(パス使用不可の例外の遺跡:ベンメリア、プレアヴィヒア、プノン・クーレン、コーケーなど)売り場で買える営業時間は午前5時~午後5時(その後30分は翌日分が買える)
しかし、「バンテアイ・スレイ」はその他の遺跡よりも少し遠方なので注意が必要です。バンテアイ・スレイを見学したい方は、3日券がおススメです。(その他に一日券、7日券があります)このパスは一週間期限のうち、お好きな3日間を選べます。
使用した日のところにパンチで穴を開けてくれるので、いつ使用したか分かるようになっています。(パンチを押されちゃったからもうこのパス使えない~!ということはないです)
【服装】
早朝に行かれる場合は、パーカー(羽織るもの)必須。トゥクトゥクの場合は、マスク(防塵用)必須です。恰好は、日本でいう真夏の恰好でよいでしょう。※カンボジアの遺跡は神聖な場所なので比較的どこも過度な肌の露出は控えるべきとされています。
女性はノースリーブやショートパンツなどの服装は避けるとスムーズに観光ができることと思います。日差し対策として、帽子や長袖の持参も必須です。(入口などでお水を買うのもお忘れなく)首も焼けてしまうので、タオルやショールはお好みで!
まとめ
1000年の時を超えて存在していた場所に、今自分たちが立てると思うと、少し感慨深い気持ちになりますね。アンコール・ワットよりも小規模な遺跡ではありますが、見応えのある遺跡だという声が多いです。
シェムリップのパブストリートなどの中心地からは1時間弱ありますが、3日以上滞在される方などは同じように少し中心街から距離のある「ベンメリア」や「プノン・クーレン」、「クバール・スピアン」と一緒に行く方も多いです。
石でできたアンコール遺跡群とは、違う独特な雰囲気を持つ「バンテアイ・スレイ」ぜひ行ってみてはいかがでしょうか。
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