ダナン観光の定番!ベトナム中部屈指の聖地「五行山」の歴史をご紹介します。

海に面しているダナンの観光地といえばビーチを思い浮かべる方も多いと思いますが、ダナンには観光客がこぞって訪れる「山」があるのをご存知ですか?

今回はダナンが誇る聖地「五行山」の歴史を中心に掘り下げていきます。

五行山とは

五行山とは「火山(ホアソン)、水山(トゥイーソン)、木山(モックソン)、金山(キムソン)、土山(トーソン)の5つの山の総称」です。山そのものが大理石で出来ているため、別名「マーブルマウンテン」とも呼ばれています。五行山はダナンでも指折りの人気観光スポットです。

名前の由来

五行山の名前の由来は、陰陽五行説という思想が関係しています。陰陽五行説というのは、全ての事象が「陰」と「陽」の相反する状態で存在しているという「陰陽思想」と、万物が「火」、「水」、「木」、「金」、「土」の5つの要素で成り立っているという「五行思想」を組み合わせた考え方です。

五行山の山々はこの思想に基づいて、ベトナムの最後の王朝「グエン王朝」の第2代皇帝「ミンマン帝」によって名づけられました。

古代の伝説や建築

五行山にまつわる伝説
ダナン古来よりの伝説によると、ノンヌオックビーチの海から龍が現れて卵を産み落とし、その卵から美しい娘が生まれると、残った卵の殻は神秘的な山(五行山)に変わったと言われています。

チャンパ王国

ダナンを含むベトナム中部沿岸にはかつて、「チャンパ王国」という国家が存在しました。チャンパ王国において五行山は「聖なる山」とされていました。チャンパ王国時代の建造物は、今でも五行山に残っています。

五行山の人気観光スポットのひとつであるホアギエム洞窟には元々チャンパ王国の民「チャム族」の寺院だった歴史があり、祭壇にチャム族の信仰していたヒンドゥー教の神様のレリーフが施されています。また、タンチョン洞窟の入り口にもチャム族によるレリーフが見られます。

グエン王朝には中国風の寺院も

グエン王朝が栄え始めると、第2代皇帝のミンマン帝によってチャンパ王国の時代は終わりを迎えました。ミンマン帝は清を宗主国と考えており、自ら設計した自身の廟も中国風でした。そのためか、五行山に立てられた主な寺は中国風の建築様式を取り入れられています。名付け親のミンマン帝もまた、五行山に思い入れがあったと思われます。

ベトナム戦争の激戦区

ベトナム戦争時のダナンは激戦区でした。ヴァントン洞窟は当時、ホーチミン氏率いる南ベトナム開放民族戦線(ベトコン)が隠れる場所として使っていました。ヴァントン洞窟とフィエンコ洞窟の天井に開いた穴は、米軍の空爆によるものです。フィエンコ洞窟の天井の穴から差し込んだ光は正午頃になると神々しく仏像を照らしますが、この洞窟の歴史を知っていると何とも感慨深いものがあります。

西遊記にも登場する山

実は、「西遊記」に五行山が登場していることをご存知ですか?大暴れした孫悟空が、500年閉じ込められていた山が五行山です。三蔵法師がこの山から孫悟空を助けるところから物語が始まります。

五行山登山のポイント

・現在入れる山
五行山は火山(ホアソン)、水山(トゥイーソン)、木山(モックソン)、金山(キムソン)、土山(トーソン)の5つの山がありますが、現在一般公開されているのは道が整備されている水山(トゥイーソン)のみです。

・チケットとマップ
チケットとポストカード付きのマップは、それぞれ1万5000ドン(約75円)です。
マップは持っていたほうが便利な上、旅の記念にもなるのでおすすめです。

・有料エレベーター
有料のエレベーターは片道1万5000ドンで乗れますが、自力で登って10分程度の場所にあるリンウン寺までしか行きません。体力温存のために少しでもショートカットしたいならエレベーターに乗るのもいいですが、折角登るなら自分の足で踏破した方が展望台からの景色も格別ですよ!

・服装と持ち物
大理石でできた地面は滑りやすく、急勾配の階段が続く場所もあるため、登山の際はスカートは避け、動きやすい服装と歩きやすい靴で登ることをおすすめします。聖地ですので、できれば長袖など露出を控えた服装のほうが望ましいです。汗をかくので、水と汗を拭くタオルや手ぬぐい、日よけ用の帽子を持参すると安心です。

まとめ

五行山は格式高い山でありながら、戦争の壮絶さを物語っており、光と影の両方の歴史を持つ山です。美しいだけではなく影も持ち合わせた二面性が、今でも多くの人を惹きつけてやまない理由なのかもしれませんね。

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