世界遺産アンコール遺跡群の巨大寺院「ベンメリア」ジャングルの中にただずむ巨大な寺院の歴史と神秘を解説します。

ベンメリア遺跡とは?

アンコールワットに代表される「アンコール」とは王都という意味です。かつてはクメール王朝の首都があり、その時代に建設された数々の建造物が残っています。
ベンメリア遺跡は、クメール王朝のアンコール遺跡群のうちのひとつです。ベンメリア遺跡は、アンコールワット建造前の11世紀末から12世紀初頭にかけて建てられたと言われています。

アンコールワットの東約40㎞の位置にあり、アンコールワットとの類似点が多いことから、「東のアンコールワット」とも呼ばれています。一説ではアンコールワットを凌ぐ規模があると言われており、東西1200m、南北900m、幅45mの環濠に囲まれた平面展開の寺院です。

ベンメリアの歴史について

ベンメリア遺跡は都が移り、内紛や隣国アユタヤ朝などの外敵の侵攻で1432年にクメール王朝が滅ぶと、密林の中に埋もれたまま、その存在は長く忘れ去られていました。1860年、インドシナ半島を調査していたフランスの植物学者アンリ・ムオによって遺跡の一部が発見され、アンコール遺跡は再び息を吹き返しました。

しかし1970年代、ポル・ポト政権による独裁政治が敷かれたカンボジアでは、激しい内戦が起きていたため、遺跡群はことごとく戦禍を被ります。やがて平和が戻り、1992年にユネスコの世界文化遺産に登録されますが、同時に危機遺産リストにも登録されます。

そこから懸命な遺跡の保護活動が始まり、その努力によって2004年に危機遺産リストから外されましたが、「ベンメリア」は原型をとどめないほど崩壊が進み、いまだ修復されることなく発見当時のまま放置されています。

ベンメリアの神秘について

①過去にタイムスリップしたような感覚が味わえる!?

ベンメリア遺跡の中に入るとすぐに遺跡が崩壊していることが分かります。崩壊は主に内戦、大木による浸食、アリが地下に大きな空洞を作ったことにより自重で崩壊したと考えられています。遺跡はジャングルの中に手つかずのまま放置されていて、崩壊した壁が道を塞いでいたり木が遺跡に倒れかかっていたりするので、まるで数百年前から時が止まっているかのような感覚を味わえます。

見学は、現地のガイドの後について傾いた屋根の上に上ったり、崩れた壁の上に這い上がったり、時には光が届かない暗闇の回廊を歩いたりと迷路のような道なき道を歩きます。自分が発見した遺跡であるかのように探検できるのがこの遺跡の魅力です。ただし、指定されたコースから外れると危険なので注意しましょう。

②驚くほど現存状態の良いナーガ!

ベンメリアはクメール語で「蓮池」を意味しており、その名の通り、崩壊した建物のところどころに花のレリーフ(浮彫細工のこと)を見ることができます。元はヒンドゥー教の寺院として建てられましたが、後に仏教の寺院に変わったため仏教をモチーフにした彫刻も散見されます。十字回廊にはインドの抒情詩ラーマヤナ物語インドラ神をかたどったレリーフが残されており、在りし日の荘厳な姿を連想させます。

東門テラスの欄干部分に立つ5つ頭の蛇神ナーガは、これほど崩壊した遺跡の中にありながら、驚くほどよく原型をとどめており、アンコール遺跡群の中でも最も美しいナーガだと言われています。

③ベンメリア遺跡は天空の城ラピュタのモデル?

ベンメリア遺跡は近年日本で特に注目を集めています。それはベンメリア遺跡が天空の城ラピュタのモデルになったと言われているからです。大きな岩が道を阻む様子、樹木と遺跡が共存しているどこか物悲しい様子はラピュタのイメージに近いという声がネットに多数あります。

監督の宮崎駿さんがベンメリアについて言及しているわけではありませんが、とってもロマンがありますよね。皆さんも訪れれば、ジブリ映画の主人公になったような気分を味わうことができますよ。ファンの方も、そうでない方もぜひこの独特な雰囲気を味わいに来てください!

ベンメリア遺跡の基本情報

ベンメリア遺跡の営業時間は年中無休で7時~17時半です。また雨も少なく、人が少なめという理由から午前中に行くのがおすすめです。ベンメリア遺跡の入場料は一人5$(約560円)。ガイドを付けたい場合は追加で5~10$しますが、特にガイドなど必要なく自分たちでゆっくり見て回りたい場合は不要でしょう。ガイドをお願いしたい方は、遺跡の前でガイドが待機しています。

ベンメリア遺跡に行くには、主に3つの行き方(タクシー・トゥクトゥク・ツアー)があります。どの方法で行くにもシェムリアップから行くことになりますが、個人で行くには旅慣れていないと少し大変なため、海外旅行初心者の方はツアーで行くことをおすすめします。

その他の注意点

● アンコールワットの入場券とは別
アンコールワットの入場券があれば、大抵の関連の遺跡には入場できますが、ベンメリア遺跡の入場券はアンコールワットの入場券とは別です。現地で別途購入が必要になるので注意してください。

● 歩きやすい靴で行こう
ベンメリア遺跡は足場が悪いので履き慣れた運動靴で行くのがおすすめです。

● 飲料水は必ず持参しよう
ベンメリア遺跡内には売店はありません。そのため、飲料水はあらかじめたっぷり持参するようにしましょう。一年を通して30℃を超える暑さのカンボジアでは、水分補給しないと倒れてしまいます。

● トイレは遺跡入場前に行っておこう
ベンメリア遺跡内にはトイレはありません。チケット売り場のそばに観光客向けのトイレがあるのでそこですませてから遺跡の中に入るようにしましょう。

● 話しかけてくる人に注意
日本人はお金を持っていると思われているので、いろんな人が声をかけてきます。向こうから話しかけてきてついてくる人には注意が必要です。勝手にガイドをされて料金を請求されるという被害にあっている人もいるので、ガイドが不要であれば、はっきりNOと意思表示をしましょう。

最後に

ベンメリア遺跡の歴史と神秘についてご紹介しました。ベンメリア遺跡には他のアンコール遺跡群にはない魅力があります。言うなれば人の手によって加工されていない手つかずのままの廃墟が醸し出す魅力です。ぜひ実際に足を運んで数百年の歴史のロマンを肌で感じてみてください。

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*記事内で「弊社催行ツアー」などと記載されてるものは現在では提供しておりません。TNKトラベルのツアーはすべて提携ツアー催行会社が提供しております。